現、カチタスの創業者である須田先生の著書、「アパート経営はするな!」を読みました。初版が2011年の7月で、当時からアパート投資の危険性についてシンプルに解説している良書です。
アパート経営が難しくなる論拠は、人口減少により家を借りる人が今後減っていくことです。国や地方自治体、証券会社などから様々な分野の予想や分析レポートが発表されますが、その中で人口や家計の将来推計は信頼度が高いことで知られています。その信頼度の高い人口の将来推計(人口問題研究所による推計)によると、日本の人口は今後急速に減ることが予想されており、野村総合研究所は人口減少等の影響により2033年には日本の不動産の約3軒に1軒が空き家になるという衝撃の分析を発表しています。
須田先生は人口が減る日本でのアパート経営は自殺行為であり、所有者は即刻アパートを現金化することを勧めています。2011年以降、異次元の金融緩和等を背景に不動産市場は回復傾向にあり、この間にアパート経営を始めたて今のところ上手くいっている大家さんも多いことと思います。しかし、同時にアパートの採算性低下により一括借上賃料の減額を理由とした訴訟が増えているのも事実です。アパートは建物が新しいうちは安定的に稼働しますが、築年が進むと賃料や稼働率が低下して採算性が大幅に低下します。大手の不動産ファンドも基本的に築年の浅い不動産を取得し、古くなったら新しいものと入れ替えを行います。投資期間を30年と想定した場合、建物が古くなってきてそもそも運営がきつくなる投資後15-30年の間に、人口減少による賃貸需要の急減が直撃することになります。現在表面化しつつあるサブリース問題は、今後更に深刻化することは避けられないように思います。
須田先生は今から(2011年当時)のアパート経営は必ず赤字になると分析されています。弊社も、立地が優れている一部の物件を除いては、お客様にはアパートの売却をお勧めしております。
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