2000年代前半からリーマンショックまでの期間を「ミニバブル」と呼び、不動産市場が活況な期間でした。不動産の証券化が発達した期間でもあり、ダヴィンチをはじめとした多くの新興不動産企業が活躍していました。
しかし、リーマンショックが起きるや、これらの新興企業は資金繰りに苦しみ、破綻してしまいました。破綻の理由は様々ありますが、自己資本が薄かったことが大きな原因です。
//toyokeizai.net/articles/-/3831
上の東洋経済の記事でLTVという用語が出てきますが、これは「Loan to Value」を意味しており、つまり不動産価値に対するローンの割合です。記事では8割のLTVとあるので、20%の自己資金、つまり頭金を2割入れろということです。
この2割の頭金が不動産市況が厳しくなった時に吹き飛んでしまいました。銀行へローンの返済をするため、他の不動産を売ってお金を作る必要があるため、不動産市場は売りが売りを呼ぶ状態に陥りました。
この教訓から、銀行が危ない貸付をしないよう、「バーゼル規制(BIS規制)」が導入され、今のLTVは50%程度まで低下しています。つまり、プロの不動産市場では、頭金は2割でも不十分で5割位入れべきとされています。(下のレポートの図表8ではLTVが低下していることがわかる)
//www.smtri.jp/news/pdf/20170327.pdf
一方、これと真逆のことが一棟アパート・マンション投資市場では起きています。昨年から融資条件が厳しくなりましたが、それまでは頭金ゼロで一棟アパートを取得することができる場合もありました。通常、個人が購入を検討する一棟アパートは、プロが扱う物件と比較して、立地、調達金利、稼働率等、ほとんど全ての面で劣ります。当然、プロの扱う物件より不動産市況低迷時には価格の下落率は大きくなります。不動産低迷時に売りが売りを呼ぶ展開になるような気がしてなりません。
コメント